自律神経を鍼で整える

自律神経を鍼で整える

「なんか身体がだるいな。」

「夜眠れない。」

「良くめまいがする。」

 

こういった症状が続いたことはありませんか?

 

その症状 “自律神経” が関係しているかもしれません。

 

今回は自律神経について知ってもらおうと思います。

 

自律神経とは

全身の器官をコントロールする神経です。

身体の外からの刺激や内部からの情報によって、生命を維持するために

不可欠な機能(呼吸、血液循環、体温調節、消化、排泄、生殖、免疫)を

自動的にコントロールしています。

 

手や足は何らかの病気やケガがない限りは自分の意思で自由に動かすことが出来ますが、心臓の動きや胃腸の動きを自分の意思でコントロールすることはできません。

このように、自分の意思では動かせないけれど、生命維持に関わる部分に働き、これを自然にコントロールしている神経が自律神経です。

 

私たちの意識や状態とは無関係に、24時間休みなく働いており

そのおかげで睡眠中も心臓が止まらず呼吸が出来ています。

 

その為、なんらかのダメージを受けて自律神経が乱れてしまうと様々な不調症状が

身体に現れるようになります。

 

 

神経の種類

神経は、中枢神経と末梢神経に分けられます。

・中枢神経:『司令塔』各部位、各器官に指令を出す。主に脳や脊髄

 

・末梢神経:情報を集めて脳に伝え、脳からの指令を必要な場所に伝えるもの。

身体の隅々に張り巡らされています。

その中でも自律神経は末梢神経に含まれます。

 

▶中枢神経と末梢神経の働き

熱い鍋に手が触れてしまい、手に張り巡らされた末梢神経から脳へ、「熱い」とういう外部からの情報を伝える。

脳(中枢神経)からは末梢神経へ、「手を離せ!」という指令が伝わる。

末梢神経が手や腕の筋肉を動かし、熱い鍋から手が離れる。

 

▶末梢神経にも2種類あり体性神経系と自律神経系があります。

・体性神経系:意識的にコントロールできる筋肉や皮膚にある感覚を脳や脊髄につなぐもの。

熱い鍋を触ってしまった際の反応は、体性神経の働きであり、「熱い」と感じるのは外部の情報を受け取る感覚神経、筋肉に指令を出すのは身体を動かす運動神経です。

 

・自律神経系:脳や脊髄を内臓とつなぐもの。自分の意思ではコントロールできません。

 

  • 自律神経の2つの働き

自律神経は大きく2つの働きに分けられます。

 

交感神経

副交感神経

 

交感神経:“活動的” “緊張” “興奮” 主に日中に活発

自動車でいう『アクセル』の役割です。

 

相手と戦う時、身体は緊張し心臓の鼓動は早くなり、血圧が上がります。

相手をよく見るために同行は散大し呼吸は激しくなる。

身体が活発に活動しているときを想像すれば、交感神経が興奮した時の働きを想像できると思います。

 

交感神経を興奮させる物質として、アドレナリン、ノルアドレナリンがあります。

これらが作用することで血圧が上昇し瞳孔が散大します。

 

副交感神経:“休息” “リラックス” 夜間に活発

自動車でいう『ブレーキ』の役割です。

 

副交感神経は主に交感神経とは逆の働きをします。

副交感神経は身体がリラックスしている時に強く働きます。

食事中は気分を落ち着かせて食べると思います。

睡眠中も同じように身体を休めている状態です。

このように食事中や睡眠中など身体を落ち着かせている時に働きます。

例えば食事をしている時、胃酸がたくさん分泌され腸の運動は活発になります。

副交感神経が興奮することにより、食物の消化に関わる機能が活発になります。

 

副交感神経を興奮させる物質として、アセチルコリンがあります。

血圧低下、脈拍の減少、唾液の産生を促し、消化機能の亢進などの働きに作用します。

 

交感神経と副交感神経はお互いに調整しあっています。

どちらかが働きすぎてしまう、もしくは働きが悪くなると調整がうまくいかなくなり

体調不良を引き起こします。

 

自律神経が乱れる原因

自律神経が乱れる原因には大きく3つあります。

 

・ストレス

・生活習慣の乱れ

・ホルモン

 

ストレス:体にストレスがかかることで交感神経の興奮が強くなり常に緊張状態が続きます。そうなることで副交感神経に切り替わらず、常にリラックスできない状態が続いてしまいます。

病気やケガのような肉体的ストレス

季節の変わり目、急な気温の変化などの環境的ストレス

仕事、学校、家庭などの社会的ストレス

悲しみ、怒り、不満、恐怖などの心理的ストレス

 

生活習慣の乱れ:血流不足や内臓に負担がかかることで自律神経の働きが乱れます。

偏った食事や運動不足、不規則な睡眠など

 

ホルモン:ホルモンバランスが乱れることで一定であるホルモン分泌量が変化することで自律神経の働きが乱れます。

月経周期や閉経に伴って起こるホルモン分泌量の変化など

 

  • 自律神経が乱れることで現れる症状

・頭痛:ストレスや長時間のデスクワーク、寝る前のスマホ使用などで

交感神経の働きが高まります。そうすると筋肉の緊張や血管の収縮が起こり

血行不良のため頭痛が起こります。

 

・不眠:肩こりやストレスによって身体と心が緊張してしまいます。

睡眠時に交感神経が優位になってしまい、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。交感神経が刺激され体温が高まり、脈拍や血圧が上昇するため脳や身体を覚醒状態にしていきます。

その為、体温がうまく下がらず日中と同じ高い体温状態が続いてしまったり、興奮状態が続き眠れなくなります。

 

・倦怠感:血液の働きは身体に酸素を運ぶことです。

自律神経はその働きをコントロールしています。自律神経が乱れることでその働きも乱れてしまうので血流が悪くなります。

そうなってしまうと全身に血流が回りにくくなり身体のだるさが起きてしまいます。

他にも、交感神経が働き続けてしまうことでアドレナリン、ノルアドレナリンがたくさん分泌されその為、興奮状態が続き身体が休まらず常に身体に疲労を感じてしまうことも倦怠感の原因の一つです。

 

・めまい:倦怠感と同じく全身に血流が回りにくくなり、酸素不足が起こります。

全身に酸素不足がおこり耳や脳に酸素がいきわたらないことが原因でめまいが起きます。

 

眼精疲労:パソコンやスマホの画面の見過ぎで目を使いすぎると、目の周り、目の奥の筋肉に負担がかかります。

そうすると目の焦点を合わせる機能に負担がかかり、焦点が合わせにくくなり眼精疲労に繋がってしまいます。

 

鍼治療をすると何が起きるか

人間の脳にはたくさんの機能があります。

その中でも視床下部という自律神経のコントロールセンターとなっている場所があります。

食欲や睡眠の調節、ホルモンの分泌調整など生きるために必要な働きをしています。

皮膚に鍼を刺すことで、その皮膚刺激が脊髄神経を介して脊髄から脳へ伝達されます。そうすることで視床下部に刺激が伝わり自律神経の調節を促します。

 

末梢神経が分布している体幹、首、上肢、下肢へ鍼で刺激を与えることで、その刺激が脳へ伝わり自律神経を調整してくれます。

 

全身治療をすることで、自律神経の調節や全身の血流が促されます。

全身に酸素がいきわたり本来あるべきお身体の状態へ改善していきます。

 

ぜひ一度お身体の状態を一緒に見直し、快適な日常生活を過ごしましょう!